PRECIPICE Multi AAR 3-5 On Whitehouse.

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自由陣営と共産陣営のあいだの冷戦は白熱し、いくつかの地域でクーデタがおき、いくつかの地域で貿易協定が満期を迎えた。私は地球上を大忙しで飛び回り、ペルーの貿易協定をまとめて現地から共産ゲリラの影響力を一掃し、ブラジルを外交交渉でアメリカの同盟国とし、サブサハラ象牙海岸諸国に資源を融通して友好国とし、サウジアラビアにスパイを配置した。他方で共産陣営は中国とインドを自由陣営による貿易協定の攻勢から外交交渉で守るのが精一杯だった。いや、この頃結局タイ王国で共産クーデタがおこり、タイ人民共和国が成立したので、これでイーストアジアは共産陣営の寡占となった。だがその代わりサウスアメリカは自由陣営の寡占となった。VPは自由10vs共産9と拮抗していた。そうしてTURN19を迎えた。

このあたりからソ連のグロムイコ外交の攻勢が本格化してきた。TURN22には中国とインドで強固な共産体制が成立した。中国では文化大革命が成功して過激派の毛沢東が完全に権力を掌握した。イーストアジアの共産陣営による寡占はこれでより一層強固なものなった。インドではネルー国民会議が選挙で敗れ、インド共産党が与党の一角となる人民戦線内閣が成立した。インドはソ連の同盟国となり、自由陣営のパキスタンに対抗し、共産陣営に農業生産供給を約束する強烈な共産主義国家となった。中国の工業製品、原材料とインドの食糧品は共産陣営の資源を潤し、ソ連は気前よく西ドイツと日本に資源を贈答し、これらの国の態度をやや軟化させた。だが、それでもVP1の差は縮まらなかった。それをなんとか引っ繰り返そうとしたのであろう、TURN22になってグロムイコは不吉な演説をした。「西ベルリンでは私たちの援助をうけた市民たちが共産体制への帰依をもとめてデモを繰り広げている。東ドイツはこれを支援するつもりだ。そして、ソ連東ドイツを支援する用意がある」。

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TURN22になってワルシャワ条約機構軍は西ベルリンを武力占領した。西ドイツは抵抗し、戦火はドイツ全土に拡大した。ニクソンと私は難しい判断を迫られた。核戦争か?それとも妥協か?共産主義陣営の狙いは明らかだった。西ドイツをアメリカが失陥すれば、NATOの独占が崩れ、VP2が失われる。自由VP8vs共産VP9となって勢力図が逆転する。NATO独占の崩壊!こんなことは前代未聞だった。だが、グロムイコの姿勢は峻厳だった。軍事行動はこれまでに例がない危機をエスカレートさせる判断だった。ブレジネフとグロムイコは核戦争まで突き進む覚悟でこの侵略戦争にゴーサインをだした、というのが私の見立てだった。ならばとる手段は一つしかない。抗議せず、パルチザンを援助し、西ドイツが独力で侵略者を撃退するのに賭けるしかない。

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TURN23、西ドイツで自由陣営によるパルチザン援助がはじまった。同時に私は東方で共産陣営の注意を攪乱するべく、ある策動を行った。以前からサウジアラビアには「アラビアのロレンス」というコードネームのスパイが駐留していたが、彼に銘じてバース党(アラブ社会主義党)の支配するイラクで不安定化工作を行い、クーデタを画策したのだ。なるほど、イラクはアラブリーグの一員であり、戦略的には価値がない国である。しかし、これは西ドイツにおけるソ連の軍事行動への婉曲な抗議でもあった。また、イラクを転覆すれば石油を産出するペルシャサウジアラビアの安全保障がより一層強固になる。

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アラビアのロレンス」の正体は私は知らない。興味もなかったので。だが彼はいい仕事をした。イラクを転覆したあと、「アラビアのロレンス」はシリアで不安定化工作に従事していた。私の計画としては、シリア、およびイエメンを転覆させ、アラブリーグにおけるソ連の寡占を崩すことが目論まれていた。TURN24になってソ連側はトルコで大規模なカウンタースパイ作戦を行った。これはほとんど不吉な前兆だった。この時点で、私は計画の中止を命ずるべきだったかもしれない。だが私は「アラビアのロレンス」に撤退命令をくださなかった。シリアを、そしてイエメンをどうしても転覆させたかった。だがTURN25になって、ソ連側は今度はサウジアラビアでカウンタースパイ作戦を実行した。

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アラビアのロレンス」は死んだ。

(続く)